2011年1月アーカイブ

このネコに今度は5-HTP(ハイド・キシトリプトファンのこと、セロトニンの前駆物質)を注射すると、正睡眠はすぐに回復しますが、REMはやはりだめです。


今度は反対に、DOPA(カテコールアミン、すなわちノルァドレナリンの前駆物質)を注射すると、REMは回復するどころか、かえって増加するのです。


さらにセロトニンの合成をさまたげる抗セロトニン剤を注射すると、通常の眠りもREMも共に減少しますが、この時また5-HTPをあたえると両者共に回復するのです。


・・・こうしてみると、セロトニン(イドロキシトリプタミン、脳の化学的な刺激伝達物質として注目されているインドール化合物)は普通の睡眠をひきおこす物質と考えられています。


REMを起こすのには、さらにカテコールアミン(ノルアドレナリン)の作用が必要である、とジュベーは言っています。


そうして、セロトニンを貯蔵している神経細胞をもつ橋の縫線核を破壊すると不眠をきたし、カテコールアミンを含んでいる神経細胞のある青斑部を破壊すると、REM睡眠が起こらなくなることを観察しました。


(この青斑は、かつてある教授が、破壊によって意識喪失を起こすことを発見された場所で、今それがREM睡眠の中枢として注目されてきたのは、両者とも意識に関連するので興味深いですね)。


・・・このようにジュベーの理論では逆説睡眠(および通常の睡眠)は脳内のモノアミン(カテコールアミンやセロトニン)という物質に左右されるといいますが・・・


これと前者の低級脂肪酸やコリン作動物質説との関連がまだ部分的にしか判っていません。


これらは東洋羽毛工業の実験からも判っています。


・・・なお、REMの化学的基礎についてはまた別の機会で述べましょう。

夜寝る前にトリプトファンを多く含んだ食物をとると・・・


入眠後、1回目のREMの開始が早くなります。


このトリプトファンというアミノ酸こそ牛乳、たまご、牛肉など、一般に動物性タンパク質に多く含まれているので、それが体内で分解されて低級脂肪酸を作り出すためと想像されます。


・・・それでは、これでREMの原因物質は解決したかというと、そうではありません。


自律神経のうち副交感神経をおさえるアトロピンを大量に注射すると、REMが1時的に消失するのです。


ところが逆に副交感神経の作用を高めるフィゾスチグミンを注射するとREMがふえます。


同じ神経刺激剤のカルバコールを僑i中脳網様体に注射してもREMがふえます。


・・・つまり、体内にアセチルコリンをふやすような物質(コリン作動物質)がREMをひきおこすことになります。


ある実験から、コリン作動物質が後橋細様核に働いて、低級脂肪酸の方はこれよりも上方にある前橋網様核に働くと推定しています。


次に最近の有力な考え方として、ジュベーの説を挙げましょう。


彼はネコにレセルピンという薬(高血圧や精神病の治療に使われる)を注射すると、通常の睡眠とREM睡眠とが減少しました。


ちなみにこの実験には羽毛 布団は使われていません。


脳のどの部分にこれが作用するのでしょうか?


それを確かめるために時実らは非常に功妙な動物実験を行いました。


つまり、ネコの大脳、間脳、中脳を全部切断して、後脳の一部(橋というところ)から下を残したネコ(これをポンスネコと言う)に注射すると・・・


健全なネコと同じくREMが規則正しく起こってくるので、逆説睡眠の中枢は橋にあることが推定されました(これを除外実験と言います)。


まだ羽根 布団 通販などがなかった時代の話です。


すごいことですよね。


さらにこまかく追究していくと、橋にもおびただしい神経核群が散在していますが、それにごく微小な電極を植え込んで、神経放電を記録してみます。


そうすると橋網様核(前・後の2種がある)と呼ばれる神経細胞からREMの時にたくさんのスパイク放電が起こるのが観察されました。


これに力を得て、この核を壊してみると、もはやREM睡眠は起こらなくなったといいます。


・・・話をもとに戻しましょう。


脂肪酸をめぐって、なおいくつかのヒントがあたえられています。


実験によれば、炭素原子の多い脂肪酸ほど少量でREMを起こすし、逆に少ないものほど普通の睡眠を起こす傾向があるそうです。


動物では、一般に肉食動物の方が草食動物よりもREMが多いですが、これは肉食の方が体内で低級脂肪酸をたくさん作るためでしょうか。